シミュレーションゲームで被災訓練 23・24日、川内中学校で徳島市社協など

 「あなたは、学校や地域の防災訓練で困った状況に立たされたことはありますか?」。訓練中に発生するさまざまな困難な状況に対し、参加者にその都度対応を考えてもらう思考体験型被災訓練「こまった訓」が23、24の両日、徳島市川内町竹須賀の川内中学校で行われる。同市社会福祉協議会などが考案した実践的な防災訓練で、今後、県内各地に普及させ、全国にも発信したい考え。

 阪神大震災などを教訓に、全国各地で防災訓練が行われ、南海地震に備える本県でも学校や地域で訓練は盛ん。しかし、あらかじめ決められたスケジュールに添って進行するケースが大半で、実際に参加者が被災時の対応を考える訓練はほとんどなかった。

 そうした疑問点に立ち、市社協や徳島新聞社の職員が考案したのが「こまった訓」。市社協と連携して「防災学習カリキュラム」に取り組んでいる川内中を初の開催場所に選び、市社協や同校、徳島大学環境防災研究センターなどが実施。生徒や保護者、自主防災組織の会員ら約百人に被災者として参加してもらい、地域全体で災害から生き残るための知識を身に付けてもらう。

 訓練は二十三日午後零時半、紀伊半島沖で震度5強の地震が発生し、午後一時までに地域住民が川内中運動場に避難してきたとの想定でスタート。参加者は同八時までの七時間、食料の確保や防寒対策、火おこしなど避難所で直面するさまざまな状況に、それぞれの所持品や考え方で対応する。この間、障害物を乗り越えて近くの町民会館まで避難する体験ゲームや救命講習もある。

 二十四日は参加者が午前九時半に集合。トイレの利用など被災時に迫られる選択肢をまとめたシミュレーションゲーム「クロスロード(分かれ道)」を体験する。

 「こまった訓」の考案に携わった市社協の木村泰之主事は「全国的にも非常に珍しいスタイルの訓練になる。見学自由なので、ぜひ参考にしてほしい」と呼び掛けている。

徳島新聞 - 2006年12月20日